上海で急速に発展してきている上海市の軌道交通。地下鉄と総称されて呼ばれることが多いが全線地上を走る3号線5号線や郊外で地上を走る路線も含まれる。中国語でも地下鉄という意味の「地鉄」もしくは日本語と同じ「軌道交通」と称している。上海の軌道交通の歴史は浅く、一番古い1号線が開通したのは1995年4月であるがその後15年余りで急速な拡大を果たした。 現在は1号線から13号線まで12本の路線が開通しており(12号線は未開通)、上海市内を4号線が環状に囲み、その中を東西南北の十字状に貫く路線などが敷かれ、さらに放射状に郊外への路線も急速に伸びている。 朝夕のラッシュはかなりのもので、相当の覚悟が必要。車両はドイツ製、フランス製の2種類があり、6両編成の大型車両が使われている。 現在、上海市内郊外の至る所で延長・新設が工事が行われ、2010年の上海万博開幕前までに既に総延長420kmが開通している。将来は2012年までに500kmに達する計画となっている。
上海地下鉄リニア乗り換え・所要時間案内
上海地下鉄路線図
1号線
上海で最も歴史が古い路線で市を南北に結ぶ大動脈となっていて、そのルートは上海の名所巡りのごとく多彩な顔の街が各駅に連なっている。
上海のベッドタウンとして発展を遂げている莘庄を起点として、大型ショッピングセンターを抱える蓮花路、遊園地のある錦江楽園、上海の南の玄関口である上海南駅を経て、コンサートの盛んな上海体育場、賑やかな繁華街の徐家匯を経由して、外国人向けの店が並ぶ衡山路、高級ブランド街である淮海路の下を通り、市のシンボル人民広場で2号線と接続し、鉄道の表玄関の上海駅にいたる。そしてさらに路線は北へ伸び、雑技の行なわれる上海馬戯城、宝山区の富錦路まで路線は続く。北部区間は2層構造の高架橋を走る。 上海火車駅から北側の区間は本数も少なく、上海火車駅―莘庄間での区間運転の列車も多い。ラッシュ時間はほぼ3分間隔で運転されている。錦江楽園から西など一部地上区間もあり、車窓の風景を楽しむこともできる。ラインカラーは赤。
【1号線関連の動向】地下鉄1号線、北部延長線開通 (2005.1掲載)暑い夏、上海地下鉄1号線を快適に利用する方法 (2006.8掲載)
2号線
2000年6月に最初に開通しその後徐々に東西へ延伸され、2010年には上海虹橋国際空港と上海浦東国際空港を結びつけることになった。総延長約60キロで30の駅がある。市内の重要な拠点を結び東西連絡の役割を担う。
上海虹橋駅・上海虹橋国際航空から虹橋開発区を経て、賑やかな中山公園で3・4号線、江蘇路駅で嘉定方面からの11号線と接続し、高級百貨店のある静安寺で7号線と接続する。そして南京西路の地下を通って人民広場で1・8号線と連絡する。その後、外灘(バンド)が近い南京東路で10号線に接続し、上海環球金融中心・金茂大厦・東方明珠塔のある陸家嘴を経由したあと、地下鉄の一大ターミナル世紀大道で4・6・9号線と接続し、東方芸術中心などの文化施設のある科学技術館、そして市民の憩いの場である世紀公園を経て、磁浮列車(リニア)の起点である龍陽路、そしてハイテク企業の集まる張江高科駅に着く。さらに路線は東へ延びるが市内からの列車は広蘭路駅止まりで、ここから先は4両編成の区間運転列車への乗換えが必要となり、川沙を経て上海浦東国際空港に到着する。ラインカラーは緑色。ラッシュ時間帯は3分~4分間隔。朝夕は黄浦江を越える区間ではかなりの混雑する。張江ハイテクパーク方面への通勤ラッシュは年々ひどくなってきている。
【2号線関連の動向】上海地下鉄2号線が西に延びた ~虹橋開発区まで地下鉄で~ (2007.1掲載) 上海地下鉄2号線が浦東国際空港まで直結(2010.4掲載)
3号線
かつて明珠線と呼ばれたていたが、現在では3号線の呼び名が一般的。市街地の鉄道路線を廃線にし、その跡地に建設した路線でほぼ全線で高架を走る。開通は2000年12月で、上海市の南北を西側に弧線を描いて結ぶ。4号線と宣山路―宝山路駅間で線路を共有しており、近年列車本数の増加から上海駅~宝山路で複々線化する構想が出ている。 起点の上海南駅駅で、鉄道駅と地下鉄1号線と連絡。上海植物園や龍華寺などを沿線に置き、さらに漕渓路駅で巨大な家具店IKEAや上海の旅行拠点の上海旅遊集散中心を見下ろしながら北上、宣山路で9号線と接続、さらに虹橋路駅では環状の4号線と合流し10号線とも接続する。中山公園では2号線、曹楊路で11号線、鎮寧路で7号線と接続し、上海火車駅では鉄道駅北口広場にホームがあり地下鉄1号線と再び連絡。宝山路駅からは4号線と分離しここからまっすぐ北上し魯迅公園や虹口サッカースタジアムなどを脇に見ながら宝山区の江揚北路まで路線は続く。
車両は先頭車が流線型で、フランス製の黒が印象的な車両を使っているが、この車両はドアが外から閉まるプラグ式のドアを採用しており、よくラッシュ時に人の圧力でドアが閉まらなくなるトラブルが多い。ラインカラーは黄色。
【3号線関連の動向】上海地下鉄3号線、北部延長線が開通 (2006.12掲載)
地下鉄4号線
上海の中心部をぐるっと取り囲むように建設された路線で内回り外回りで環状運転される。全線同時開通の予定であったが2003年夏の建設中に大規模な陥没事故があったため2005年に大木橋路―藍村路の間を除いた区間で暫定開業した。そして3年遅れの2008年末に総延長33.7キロの全線が開通した。3号線と宣山路―宝山路駅間で線路を共有している。
西蔵南路で8号線と連絡、そして東安路で7号線、上海体育館で1号線と接続して3・9号線の宜山路と接続、宝山路まで3号線と線路を共有し、海倫路で10号線と連絡、北外灘の大連路などを経て黄浦江のトンネルを抜けて浦東へ。さらに世紀大道で2・6・9号線と連絡して、日本人マンションのある塘橋を通り再び黄浦江へ戻り南浦大橋を経由し全25駅の大きな環状線となる。ラインカラーは紫。
【4号線関連の動向】祝!開通、地下鉄4号線 (2006.1掲載)
軌道交通5号線(莘閔線)
閔行地区の交通事情を改善するために、地下鉄1号線の終点莘庄駅から先に建設された路線。車両は他の路線に比べると小型で国産技術を多く利用した新型車両を採用。総延長は17.4キロ、途中11の駅があり全線高架を走る。上海市内と閔行区が40分程で結ばれている。今後東川路駅から閔浦二橋を通って黄浦江を渡り奉賢区南橋鎮まで路線が延長される計画がある。
【5号線関連の動向】軌道交通5号線開通試乗記 (2003.12掲載)
地下鉄6号線
途中、外高橋保税区の港城路駅~五蓮路駅までは高架線となっていて、高架駅の天井には白いテントが使われるなど、特徴ある構造となっている。
6号線の沿線は、大型の住宅地が多いことも特徴だ。東溝居住区・金橋新村・羅山新村・香山新村・竹園新村・濰坊新村・塘橋・龍陽路居住区・臨沂-昌里居住区・三林居住区など22カ所に上る。MORE>>
地下鉄7号線
2009年12月5日、地下鉄7号線の第1期が開通した。上海市内をL字型に貫くルートで、全区間34.38キロ。途中、28カ所の駅が設置され一部を除きほぼ全線で地下を走る。途中宝山区・普陀区・静安区・徐匯区・浦東新区と5つの区を経由し沿線には上海大学・桜で有名になった顧村公園、そして終点の花木路には巨大な見本市会場上海新国際博覧中心がある。MORE>>
地下鉄8号線
楊浦区には市中心部とダイレクトに結ぶ地下鉄がなく、住民はバスに頼るしかなかったが8号線が出来て大変に便利になった。キャンプなどのできる上海共青森林公園近くの住宅街にある市光駅を起点とし、上海市の商業エリアでもある四川北路・西蔵路・淮海路・南京路を南北に横切り、更には旧上海万博跡地などを経て航空宇宙関係のものを集めた航天博物館へ至る。沿線の大世界駅近くに上海音楽庁、雑技の行なわれる共舞台、世界規模の水泳大会の行なわれる東方体育中心などがある。MORE>>
地下鉄9号線
上海の発展の基礎を作った松江と上海市中心エリアを結ぶ地下鉄9号線は、旧市街地北部の松江大学城から北上、上海有数の遊園地の上海歓楽谷や大きな温室のある上海辰山植物園のそばを通り、七宝古鎮、漕河涇開発区を経て、宜山路で3・4号線と接続、さらに徐家匯で1号線と接続、そして最近人気の老庫街の田子坊を経て、黄浦江を渡り世紀大道で2・4・6号線と接続、終点橘高中路までを結ぶ。MORE>>
【9号線関連の動向】徐家匯、地下鉄3路線が交わるターミナルに (2006.4掲載)
地下鉄10号線
上海地下鉄10号線は、上海市の北東エリアから市内の主要な商業エリア、史跡、観光地を通過し、虹橋交通総合ターミナルに乗り入れて、虹橋空港・上海虹橋駅から上海動物園を経て日本人の多く住む古北地区を通過し市内へと結ぶ重要な役割を担う。総延長は36キロ。
全体の3分の2は市街地を経由し、上海の4大商業エリアをカバーしており、日本人が多く住む虹橋エリアにも駅ができたため古北虹橋エリアから市内中心部へ出やすくなった。
沿線上には豫園・老西門・南京路・新天地・淮海路・四川路・五角場などの商業観光地や、上海図書館・宋慶齢旧居・上海文化広場・復旦大学・同済大学など文化拠点が数多く存在する。MORE>>
地下鉄11号線
地下鉄11号線(一期)は、西北から東南へ走る路線で、嘉定、普陀、長寧と三つの行政区をまたがっている。
嘉定区は上海の最北部にあり、交通が不便で上海18区の中では僻地のような存在だったが11号線の開通により嘉定区の生活・産業などが一気に都会に近づいた。路線は現在2号線の江蘇路駅を起点として北上し、雑技の行なわれる滬西大劇院の最寄駅となる曹楊路で3・4号線と接続、滬寧城際鉄道と上海西駅で接続する。さらに小龍包で有名な南翔を経て嘉定区にいたる。そして11号線は嘉定新城駅で分岐しも本線となる一方は嘉定北まで延び、嘉定区の中心的役割を担うとともに江蘇省太倉側の連絡拠点となっている。もう一方の支線はF1中国GPの行なわれる上海国際サーキット前を経て安亭鎮に繋がり、将来は江蘇省昆山市の軌道交通と繋がる予定になっている。MORE>>>
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