上海にしばらく住んでいると山が恋しくなってくる。市内はもちろんのこと、ゴルフをしに郊外に出かけても一面平坦で、国土の7割が森林の国からきた者としては、望郷の念にかられてしまう。
そんな時には上海からちょっと足を延ばしてみよう。といっても西方向はだめだ。江蘇省は、湖は多いが山は全くない。しかし南の浙江省は山もあれば谷もあり、小川もあれば渓谷もある。高速道路も整備されたので、車をチャーターして数日かけて巡ってみてはどうだろうか。
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寧波は舟山諸島が天然の防波堤として波を防ぐ天然の良港として古くから繁栄した。
唐代には、寧波は「海のシルクロード」の起点として、揚州、広州とともに三大対外貿易港のうちの一つであった。日本からの遣唐使もその多くは寧波で上陸した。アヘン戦争後の南京条約で開港された五つの港(寧波、広東、厦門、福州、上海)のうちの一つでもある。
現在は長江デルタ地域一の良港として、同地域の経済において重要な役割を担っている。2001年の貨物取扱量は1.28億トンで香港・台湾を除く中国の中で上海に次いで2番目に多い(3位広州、4位青島、5位天津。日本と比較すると、千葉、名古屋に次ぎ、横浜より多い規模である)。寧波には複数の港があるが、その中で最も規模が大きいのが寧波市街より東へ約30kmの北侖港である。
寧波経済にとっての大きな問題は上海市から直線距離ではわずか150kmほどであるにも関わらず杭州湾で隔たれているため車では5時間ほどを要してしまうこと(通常上海から出張や観光で訪れる場合、飛行機を利用する)。しかし現在建設中の杭州湾を跨る杭州湾大橋が完成すれば3時間ほどに短縮され、経済がさらに発展することが予想される。 以上のように寧波は経済的重要性がめだつが、観光資源も数多い。市中心にある寧波城隍廟〔Ning
Bo Cheng Huang Miao〕は明代の廟で、その後焼失により何度か再建さ今に至る。隣接する城隍廟自由市場は市民の活気で溢れている。月湖〔Yue
Hu〕は唐代に造られた人造湖。一帯は公園となっており市民の憩いの場所となっている。市西部の天一閣〔Tian
Yi Ge〕は、明代の范欽が建設した中国に現存する最古の蔵書閣で13,000強の蔵書を有する。天一閣の敷地内には2001年に日本との合作で設立された麻雀の博物館、麻雀起源地陳列館がある。現在の形の麻雀は19世紀半ばに寧波で生まれたといわれている。
寧波では是非郊外へ足を延ばしたい。市の東約25kmの天童寺〔Tian Tong Si〕は太白山の斜面に開かれた寺。日本の曹洞宗の開祖、道元もここで修行をしたという。北約15kmの保国寺〔Bao
Guo Si〕には、江南で最も完全な形で保存されているという北宋時代の建造物がある。天童寺、保国寺ともに、深い緑に囲まれた美しい寺だ。市の西約25kmには、新石器時代の遺跡、河姆渡遺址〔He
Mu Du Yi Zhi〕がある。
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11.82平方kmの小さなこの島は「海天佛国」と呼ばれる仏教の聖地だ。山西省の五台山、四川省の峨嵋山、安徽省の九華山と並び中国の「四大仏教名山」の一つに数えられる。訪れる人のほとんどは観光客だが、仏教上重要な日には全国から仏教徒が集まってくる。
古来日本との関係が深く、留学等で中国にやってくる僧侶の多くがここに立ち寄ったという。ある者はここを起点にさらに寧波へ、ある者は遥か奥地の長安まで上っていった。普陀山の発展には日本人が大いに関係している。唐の咸通4年(863年)に日本の僧侶慧鍔が五台山より観音像を日本へ持ちかえる途中で嵐に遭いこの地に漂着し、観音像を住人に預けたと言われる。これをきっかけとして、この島の仏教の聖地としての地位が築かれていった。
見所はすなわち寺である。小さな島の中、いたるところに寺が点在し、うち34が開放されている。最も大きいのは島南部に位置する普済寺〔Pu3 Ji4 Si4〕。普済寺の前には海印池〔Hai3 Yin4 Chi2〕があり、この一帯は人通りも多くにぎやか。島の北側に標高291.3mの佛頂山(白華頂)が聳え、その頂上に慧済寺〔Hui4 Ji4 Si4〕がある。参道は竹に覆われているが、この竹のトンネルを抜ける風と、ところどころから望める海の景色がすがすがしい。普陀山三大寺と呼ばれるのは、普済寺、慧済寺と、佛頂山麓に位置する法雨寺〔Fa3 Yu3 Si4〕の3つである。通常観光客はこの3寺を巡る。
普陀山には砂浜がいくつかあり、夏は泳ぐこともできる。ただし周辺は揚子江が運んでくる土砂で黒ずんだ水の及ぶ範囲で、ビーチから見る海の色は濁っている。
上海からの行き方は、通常はバンドの十六舗からバスで浦東新区南端の芦潮港へ行き(約1時間15分)、そこから10時発の高速艇に乗る(約2時間15分)。その他十六舗からの夜行船や、普陀山のすぐ隣の舟山島までバスでいき、そこから船に乗り継ぐ方法もある。ただ、いずれも大変時間がかかるのでお勧めできない。
朱家尖は普陀山から船でわずか5分程。10人強乗りの高速艇が10分おきに両島をつないでいる。
島の東南部には南沙〔Nan2 Sha1〕・東沙〔Dong1 Sha1〕という2つのビーチがある。いずれもきれいなビーチで、海の色はエメラルドグリーンというわけではないが、普陀山の海に比べれば青く、ちょうど伊豆半島で見る海くらいの色である。夏場は海水浴客で結構な人出になる。ビーチに面して3つ星級以上のホテルがいくつかある。宿泊は必ずオーシャンビューを指定しよう。南沙・東沙の対岸に情人島〔Qing2 Ren2 Dao3〕と呼ばれる長さ1 km強、幅は細いところで100 m弱の小さな島がある。緑も深く、洞窟などもあり、情人島という名に恥じないロマンチックな島といってもいいかもしれない。島へは吊り橋を渡っていく。
99年以降毎年夏、砂の彫刻のフェスティバルが開かれている。中国のみならず、海外からも多数の参加者があるそうだ。
朱家尖から橋でつながった舟山の瀋家門は世界三大漁港のうちの一つだという。大きな市場や多数の海鮮料理店・屋台があるので、陸揚げされたばかりの海鮮を楽しもう(ただし、屋台については衛生面で問題がある可能性は否定できないので注意)。
朱家尖への行き方で最も一般的なのは、普陀山まで高速艇で行き、普陀山から小型の船で朱家尖へ渡る。また、舟山島へは橋でつながっているので、上海から舟山島行きのバス利用も悪くない。最も楽なのは、飛行機利用である。島の中心に空港があり、上海、北京、アモイなどから直行便がある。
(04年3月記)
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